この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q宅地建物取引士試験(宅建試験)とは、どのような試験?
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宅地建物取引士試験(宅建試験)とは、宅地建物取引士(宅建士)に必要となる知識や法的思考力を判定する国家試験です。宅建試験に合格すれば、宅建士資格を取得できます。
このページでは、宅地建物取引士試験(宅建試験)について詳しく説明します。
- 宅地建物取引士(宅建士)・宅建試験とは
- 宅建士の資格を取得するメリット
- 宅建試験の日程・スケジュール
- 宅建試験の方式・試験科目
- 宅建試験に合格するための勉強法のポイント

宅地建物取引士(宅建士)とは
宅地建物取引士(宅建士)とは、不動産取引の公正を図るため、契約時の重要事項説明や契約書への記名などを行う士業のことです。
これら契約時の重要事項説明や契約書への記名などは、宅建士の独占業務です。不動産取引は、日常生活や事業経営に不可欠です。この不動産取引に必要となる宅建士の需要がなくなることはないでしょう。
宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得するには、宅地建物取引士試験(宅建試験)に合格する必要があります。
宅地建物取引士試験(宅建試験)とは?
宅地建物取引士の資格を取得するには、宅地建物取引士試験(宅建試験)に合格しなければいけません。宅建試験とは、宅地建物取引士(宅建士)に必要となる知識や法的思考力を判定する国家試験です。
宅建試験は、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づいて、国土交通省が管轄する国家試験です。国土交通大臣から指定された一般財団法人不動産適正取引推進機構が、都道府県知事の委任を受けて実施しています。
この宅建試験は毎年1回実施され、その受験者数は毎年20万~25万人近くに及ぶ人気の法律系資格です。学生から社会人まで多くの人が受験しています。
宅地建物取引士試験(宅建試験)を取得するメリット
前記のとおり、宅地建物取引士試験(宅建試験)は、毎年20万人以上が受験する人気の資格です。
人気の理由は、宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得することには、以下のようなメリットがあるからです。
メリット1:不動産業界への就職や転職で有利になる
宅建士は、不動産取引に欠かせません。宅建士資格を持っていれば、不動産業界への就職や転職で有利に働きます。
また、資格を取得していることで、勤勉性をアピールできるため、不動産業界以外での就職や転職でもプラスに働くでしょう。
メリット2:勤務先での評価アップにつながる
就職や転職に限らず、すでに不動産業界に勤務している場合、宅建士資格を取得することによって、勤務先での評価アップにつながることもあります。
勤務先によっては、宅建士資格の取得が昇格や昇給の条件になっていたり、資格手当が支給されたりすることもあります。
メリット3:法律系資格のステップアップの第一歩になる
宅建士試験は、決して簡単とは言えないものの、他の法律系資格に比べると難易度は下がります。
そのため、法律系資格の取得を目指す人にとって、宅建士試験は、ステップアップのための最初の一歩として最適です。
最初の足掛かりとして、まず宅建試験に挑戦し、行政書士や司法書士などの資格試験にチャレンジし、徐々にステップアップしていくことが可能です。
宅地建物取引士試験(宅建試験)の難易度
宅地建物取引士試験(宅建試験)は、他の法律系資格よりも難易度が下がるとはいえ、簡単に合格できるような試験ではありません。
ただし、宅建試験は、しっかりと勉強すれば、法学未経験者でも十分に合格を目指せる法律系資格です。そのため、法律系資格の入門編として最適な試験といえます。
宅建試験の合格率
最近の5年間では、宅建試験の合格率は、以下のように推移しています。
| 試験年度 | 合格率(合格者数) | 合格点 |
|---|---|---|
| 令和7年度(2025年度) | 18.7%(45,821人) | 33点 |
| 令和6年度(2024年度) | 18.6%(44,992人) | 37点 |
| 令和5年度(2023年度) | 17.2%(40,025人) | 36点 |
| 令和4年度(2022年度) | 17.0%(38,525人) | 36点 |
| 令和3年度(2021年度) | 17.9%(37,579人) | 34点 |
ここ5年間は、17~19%の合格率です。今後も、同程度の合格率と推測されます。
ただし、宅建試験は、いわゆる「記念受験」の人も多いため、本格的に勉強して合格を目指している人からすると、実質的な合格率はもっと高い(30~40%)と言われています。
宅建試験の合格までに必要となる勉強時間
宅建試験は、試験科目も多く範囲もかなり広いです。そのため、宅建試験に合格するためには、片手間ではなく、本格的に勉強に取り組む必要があります。
具体的には、宅建試験に合格するために必要な勉強時間は、300~500時間は必要であると言われています。
300~500時間と聞くと大変なように思えますが、毎日1~1時間半の勉強を続けられれば、1年間で十分にこなせる時間です。
宅地建物取引士試験(宅建試験)の受験資格
宅地建物取引士試験(宅建試験)には、特別な受験資格はありません。年齢や学歴、国籍も関係なく、受験できます。
誰でも受験できるのが、宅建試験が人気の理由のひとつです。
宅地建物取引士試験(宅建試験)の日程・スケジュール
宅地建物取引士試験(宅建試験)の日程は、年度ごとに若干違いがあります。おおまかな宅建試験の出願から合格発表までのスケジュールは、以下のとおりです。
- 7月始め~
7月中旬受験願書の交付例年7月始めから、受験願書が交付されます。願書は、指定の宅建業取引協会や書店で交付されます。インターネットで出願する場合は、願書の交付を受ける必要はありません。
- 7月始め~
7月中旬受験申込みの受付例年7月初め~7月中旬が、受験申込みの受付期間です。受験の申込みは、郵送またはインターネットで行います(インターネット申込みに限り、7月末まで申し込めます。)。
- 10月中旬宅建試験
宅建試験は、例年10月中旬に実施されます。
- 11月下旬合格発表
試験の11月下旬に、最終合格の発表がされます。
宅地建物取引士試験(宅建試験)の出願期間
宅地建物取引士試験(宅建試験)の受験申込みの受付期間は、毎年7月始め~7月中旬です。宅建試験の受験申込みは、郵送またはインターネットで行います。
郵送の場合は、指定の宅建業取引協会の事務所や書店で願書の交付を受けて行います。簡易書留郵便で郵送する必要があります。
インターネットで申し込む場合は、願書の交付を受ける必要はありません。インターネット申込みについては、7月末まで願書受付がされています。
ただし、7月中旬以降にインターネット申込みすればよいと考えていると、万が一インターネット申込みが機器の関係などで使えない場合、申し込みができず受験できなくなってしまいます。
インターネット申込みができなくなる可能性も考えて、インターネット申込みをする場合でも、7月中旬までに一度インターネット申込が可能かどうかを確かめておいた方がよいでしょう。
宅地建物取引士試験(宅建試験)の方式・科目
宅建試験は、4つの肢から正解を選択してマークシートに記入する四肢択一式の試験です。全50問が出題され、試験時間は2時間です。
宅地建物取引業法施行規則8条では、以下の事項を試験すべきとされています。
- 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
- 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
- 土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
- 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
- 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
- 宅地及び建物の価格の評定に関すること。
- 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
宅建試験の受験科目
具体的には、以下の試験科目に分けられます。
| 試験科目 | 出題数 |
|---|---|
| 権利関係(民法) | 10問 |
| 権利関係(借地借家法) | 2問 |
| 権利関係(建物の区分所有等に関する法律) | 1問 |
| 権利関係(不動産登記法) | 1問 |
| 宅地建物取引業法(宅建業法) | 20問 |
| 法令上の制限(都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、宅地造成及び特定盛土等規制法など) | 8問 |
| その他関連知識(税制、不動産鑑定評価基準、地価公示法など) | 8問 |
試験問題の一部免除制度
宅地建物取引業に従事している人は、登録講習を受けることができます。この登録講習で登録講習修了試験に合格すると、講習の修了試験合格後3年以内に行われる宅建試験で、問題の一部を免除してもらえます。
具体的には、前記「その他関連知識」のうちの5問が免除されます。免除されると、合格に必要となる点数も5点少なくて済みます。
例えば、一般受験者の合格点が35点であった場合、免除受験者の合格点は30点でよいことになります。
宅建試験の合格点
宅建試験は、相対評価の試験です。そのため、確定した合格点が決まっているわけではありません。年度によって合格点が異なります。
過去5年の合格点は、33から37点で推移しています。平均は概ね35点くらいです。
そのため、宅建試験に合格するためには、40点前後を目指すのがよいでしょう(前記5問免除の人は35点)。40点に到達できれば、どの年度でも合格の可能性はかなり高いです。
宅建試験の合格発表
宅地建物取引士試験(宅建試験)の合格発表は、例年11月下旬です。
宅建試験の勉強法のポイント
前記のとおり、宅建試験の合格率は15〜20パーセントです。8割以上が落ちる試験であるため、本格的に勉強しないと合格はできません。
以下では、宅建試験に合格するための勉強法についてのポイントを説明します。
インプットよりアウトプットを重視する
基本書やテキストを読んで知識をインプットすることは、もちろん必要です。しかし、いくらインプットしても、得た知識を使って問題を解けないのでは意味がありません。
しかも、宅建試験の出願範囲はかなり膨大なので、すべて完璧にインプットするまでアウトプットの訓練をしないのでは、時間がいくらあっても足りません。
ある程度インプットを進めたら、問題を解いてアウトプットする訓練をした方が、合格までの時間を短縮できます。
過去問を完璧に押さえる
資格試験で最も重要なことは「過去問の検討」です。
宅建試験に限らず、法律系資格試験では、重要分野は形を変えて何度も繰り返し出題されます。過去問を解くことによって、「何が重要なのか」を把握できます。
また、トップレベルの学者や実務家が作成している過去問は、基本的な知識や理解を確かめるのに最適な良問が多いです。
普段の学習では、基本書やテキストによるインプットと並行して、過去問によるアウトプットを進めましょう。
過去問を繰り返し、すべての問題を理由づけも含めて完璧にできるようになれば、十分に合格レベルに達します。
宅建業法は満点を目指す
前記のとおり、宅建試験の合格点は、33~37点です。そのため、合格を確実にするには、40点を目標にするのがよいでしょう。
合格のキーポイントになるのは、最も問題数の多い「宅建業法」です。宅建業法は、毎年20問出題されます。この宅建業法で満点近くをとれれば、かなり合格に近づけます。
宅建業法は、出題範囲もそれほど広くなく、知識があれば解ける問題ばかりなので、集中的に勉強すれば、満点も不可能ではありません。
宅建業法でどれだけ得点を稼げるかどうかが、宅建試験の重要なポイントです。そのため、宅建業法を中心に据えて、満点に近づけるよう勉強を進めましょう。
予備校や通信講座を利用する
宅建試験は、独学でも合格を目指せます。実際、独学で合格している人も少なくないでしょう。ただし、独学で合格するには、それなりの時間を要します。
宅建試験の出願範囲はかなり広いので、必要な分野を絞って重点的に勉強することが短期合格に必要です。とは言え、自分で過去問を研究して出題範囲や傾向を調べるのは、時間がかかります。
資格試験の予備校や通信講座を利用すれば、出題範囲や傾向を踏まえた情報を得られるため、効率的に勉強を進められます。
そのため、金銭面が許すのであれば、資格試験の予備校や通信講座を利用した方が、短期合格の可能性は高まるでしょう。


