この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q行政書士試験とは、どのような試験?
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行政書士試験とは、行政書士に必要となる知識や法的思考力を判定する国家試験です。行政書士試験に合格すれば、行政書士資格を取得できます。
このページでは、行政書士試験について詳しく説明します。
- 行政書士・行政書士試験とは
- 行政書士試験の難易度・合格率・合格までの勉強時間
- 行政書士試験の日程・スケジュール
- 行政書士試験の方式・試験科目
- 行政書士試験に合格するための勉強法のポイント
- 行政書士資格を取得するメリット

行政書士とは?
行政書士とは、行政官庁に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成、各種申請手続きを代行する業務を行う士業です(行政書士法1条の3、1条の4)。
裁判所に提出するような法律文書の作成は行えないものの、1万種近くの書類作成を扱えるため、業務範囲は広いです。
行政書士も、弁護士や司法書士と同様、独立開業を狙える資格です。企業内でのキャリアアップのために行政書士資格を取得する人も多いです。
この行政書士になるには、「行政書士試験」に合格する必要があります。司法試験や司法書士試験に比べると、比較的難易度が下がる点も、行政書士が人気である理由のひとつです。
行政書士試験とは?
前記のとおり、行政書士資格を得るには、行政書士試験に合格しなければいけません。行政書士試験は、総務省が管轄し、一般財団法人行政書士試験研究センターが実施しています。
難易度的には、司法試験や司法書士試験ほどではないものの、簡単な試験ではありません。試験科目も多く、記述式の問題もあります。
ただし、正しい勉強を続けられれば、法学未経験者でも、十分に短期での合格を目指せます。以降では、行政書士試験について詳しく説明していきます。
行政書士試験の難易度
行政書士試験の範囲はかなり広い上に、一定の理解も求められます。ただ知識を丸暗記しているだけで合格できるような試験ではありません。
もっとも、司法試験や司法書士試験に比べると難易度は下がります。行政書士試験は、正しい勉強を続けられれば、法学初心者でも合格を目指せる試験です。
そのため、行政書士試験は、法律系資格を目指す人にとっては、登竜門的な試験と言われています。
行政書士試験の合格率
最近の5年間では、行政書士試験の合格率は、以下のように推移しています。
| 試験年度 | 合格率(合格者数) |
|---|---|
| 令和7年度(2025年度) | 14.54%(7,292人) |
| 令和6年度(2024年度) | 12.90%(6,165人) |
| 令和5年度(2023年度) | 13.98%(6,571人) |
| 令和4年度(2022年度) | 12.13%(7,337人) |
| 令和3年度(2021年度) | 11.18%(5,353人) |
ここ5年間は、概ね11~15%の合格率です。今後も大幅に変わるようなことはないでしょう。
行政書士試験の合格までに必要となる勉強時間
前記のとおり、行政書士試験は、科目も多く範囲も広いです。そのため、すべてを完璧にしようとすると、時間はいくらでもかかってしまいます。ただし、試験の重要分野に絞って効率的な勉強ができれば、早期の合格も可能です。
もちろん人によりますが、行政書士試験の合格に必要となる勉強時間は、500~1000時間ほどと言われています。本腰を入れて勉強をすれば、仕事をしながらでも、十分に1年間ほどの勉強で合格できる数字です。
行政書士試験の受験資格
司法試験には、法科大学院の修了や予備試験の合格などの受験資格がありますが、行政書士試験にはそのような受験資格は不要です。年齢制限や学歴制限もありません。
誰でも受けることができるのは、行政書士試験の魅力のひとつです。
行政書士試験の日程・スケジュール
行政書士試験の日程は、年度ごとに若干違いがあります。おおまかな行政書士試験の出願から合格発表までのスケジュールは、以下のとおりです。
- 7月中旬~
8月中旬受験願書の交付例年7月中旬頃から、受験願書が交付されます。願書は、指定の書店で交付されます。インターネットで出願する場合は、願書の交付を受ける必要はありません。
- 7月中旬~
8月中旬受験願書の受付7月中旬から8月中旬頃までの4週間ほどが、受験願書の受付期間です。願書を郵送する方法のほか、インターネットからの出願も可能です。
- 11月
第2日曜日行政書士試験行政書士試験は、例年11月の第2日曜日に実施されます。
- 翌年1月下旬合格発表
試験の翌年1月下旬に、最終合格の発表がされます。
行政書士試験の出願期間
行政書士試験の出願期間は、毎年7月中旬~8月中旬です。
行政書士試験の願書は、指定の書店で交付されます。一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページで、配布をしている書店を確認しておきましょう。
出願方法は、願書の郵送のほか、インターネットでも可能です。インターネットでの出願方法については、下記リンク先ページを参照してください。
行政書士試験の方式と試験科目
行政書士試験は、毎年11月の第2日曜日に実施されます。試験時間は3時間(午後1時~4時)です。
出題の方式には「択一式」「多肢選択式」「記述式」があります。
択一式とは、5つの選択肢から正解を選び出してマークシートに記載する方式です。多肢選択式は、いわゆる穴埋め問題です。文章の空欄に当てはまる語句を20個の選択肢の中から選択する方式です。記述式は、40文字程度で問題に回答する方式です。
また、試験科目には、「行政書士の業務に関し必要な法令等(法令等科目)」と「行政書士の業務に関し必要な基礎知識(基礎知識科目)」があります。
各科目ごとに足切の基準点が設けられています。それぞれ基準点を超えていないと足切りになって、総得点が合格点(全体の60%以上の点数)を超えていたとしても、不合格になってしまいます。
法令等科目
法令等科目では、「択一式」「多肢選択式」「記述式」のすべてが出題されます。具体的には、以下の法令から出題されます。
| 科目 | 択一式 | 多肢選択式 | 記述式 |
|---|---|---|---|
| 憲法 | 5問 | 1問 | なし |
| 行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。) | 19問 | 2問 | 2問 |
| 民法 | 9問 | なし | 1問 |
| 商法 | 5問 | なし | なし |
| 基礎法学 | 2問 | なし | なし |
法令等科目では、50%以上を正解しないと足切になります。
基礎知識科目(旧一般知識等)
基礎知識科目は、すべて択一式です。記述式はありません。合計14問出題されます。具体的には、以下の分野から出題されます。
- 一般知識
- 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
基礎知識科目では、40%以上を正解しないと足切になります。
科目ごとの足切に注意
行政書士試験の合格点は、全体の60%以上の点数です。ただし、ただ60%正解すればよいのではなく、各科目ごとの最低基準点を超えていなければいけません。
具体的には、以下の条件を満たしていないと、行政書士試験には合格できません。
- 全体の60%以上の点数(180点以上)をとること
- 法令等科目の満点の50%以上の点数をとること
- 基礎知識科目の満点の40%以上の点数をとること
なお、法令等科目で50%、基礎知識科目で40%の点数をそれぞれとったとしても、全体の60%の点数にはなりません。各足切基準点以上をクリアした上で、さらにプラスアルファが必要です。
行政書士試験の合格発表
行政書士試験の合格発表は、試験日から年を越して、年明け1月下旬です。
行政書士試験の勉強法のポイント
行政書士試験は、合格率10〜15パーセントの難関資格試験です。しかし、正しい勉強法を続けられれば、法学未経験者でも合格が狙える試験です。
ここでは、行政書士試験の勉強法で重要なポイントを説明します。
手を広げすぎない
前記のとおり、行政書士資格の科目は、かなり多岐にわたります。すべての範囲に手を広げると、かなりの時間がかかり、途中で挫折するかもしれません。
行政書士試験の範囲は膨大ですが、出題される分野がかなり限定されます。
例えば、行政法は全部勉強しようとすると、何年かかっても終わりません。しかし、行政書士試験で出題される分野に絞って勉強すれば、はるかに短い時間で合格レベルまで持って行けます。
出題範囲に惑わされず、手を広げすぎないことが行政書士試験を勉強する際の重要なポイントです。
過去問に早めに取り掛かる
過去問は、情報の宝庫です。過去問を検討することで、試験委員が何を重要と考えているのかかわかります。出題分野がある程度限られていることにも気づくはずです。
また、トップレベルの学者や実務家が作成しているため、法令の基本的知識や理解を問う良い問題が多いです。過去問を解くことは、理解を深めるのにも役立ちます。
基本書やテキストでインプットするのも大切ですが、早い段階から過去問を使ってアウトプットに取り組むのが、早期合格へのポイントです。
民法・行政法は満点を目指す
前記のとおり、行政書士試験に合格するためには、全体の60%、法令等科目の50%、基礎知識科目の40%をクリアしなければいけません。
ただし、民法・行政法の2つを満点近くとれれば、全体の60%と法令等科目の50%の2つの条件をクリアできます。あとは基礎知識の40%をとれれば合格です。
満点と言うとハードルが高いように思えますが、8~9割でも大丈夫です。また、満点近くを狙うのも、それほど不可能なことではありません。民法・行政法の2科目を重点的に学習していけば、十分実現可能な合格戦略です。
そのため、民法と行政法の2科目をいかに満点に近づけることができるかが、行政書士試験の合格のためのキーポイントになります。
予備校や通信講座を利用する
重要・頻出分野に絞って勉強して短期合格を目指すのであれば、予備校や通信講座を活用するのが合理的です。
独学で合格するのは不可能ではありません。しかし、自分で過去問などをすべて分析して、出題範囲や傾向を調べるのは、時間がかかります。
そのような分析や予測は、予備校や通信講座に任せて、自分の勉強を進めた方が、余分な時間や手間を省けます。
資金が用意できる場合は、予備校や通信講座の利用も考えてみましょう。特に、模擬試験くらいは利用しておいた方がよいです。
行政書士資格を取得するメリット
行政書士資格は、学生から社会人まで幅広い人気のある資格です。行政書士資格を取得することには、以下のようなメリットがあるからです。
就職や転職で有利になる
行政書士試験に合格した実績を持っていると、企業側に、法的な知識があることをアピールできます。また、勤勉に努力する素養があると判断してもらえるため、就職や転職で有利に働くでしょう。
業種によっては、大きなアドバンテージになることもあります。そのため、行政書士になることを目指していない学生や社会人にも、取得するメリットがあります。
勤務先でのキャリアアップにつながる
特に転職を目指していなくても、行政書士試験の合格実績は、現在勤務している会社内での評価につながるケースがあります。
法務部勤務などであれば、行政書士資格の取得が昇格や昇給などの直接的条件になっているケースもあります。
勤務先でのキャリアアップに貢献することがあるのも、行政書士試験のメリットです。
独立開業を目指せる
就職やキャリアアップではなく、行政書士は独立開業を目指せる資格でもあります。
もちろん独立開業は甘くはありませんが、誰にも縛られずに仕事ができるのは、大きな魅力のひとつでしょう。

