この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q司法試験とはどのような試験?
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司法試験とは、法曹(裁判官・検察官・弁護士)となろうとする者に必要な学識およびその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験です。法律系資格の中でも、最難関の試験と言われています。
このページでは、司法試験とは何かについて説明します。
- 司法試験とは・合格したら取得できる資格
- 司法試験の難易度・合格率・合格までに必要な勉強時間
- 司法試験の日程・スケジュール
- 司法試験の方式・試験科目
- 司法試験合格後の進路:弁護士・裁判官・検察官
- 司法試験に合格するための勉強法のポイント

司法試験とは
司法試験とは、法曹(弁護士・裁判官・検察官)の資格を取得するための国家試験です。司法試験は、司法試験法によって定められています。
法律系資格だけでなく、国家資格全体の中でも最難関の資格試験です。
司法試験法 第1条
- 第1項 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。
引用元:e-Gov法令検索
司法試験合格後に取得できる資格
司法試験に合格すると、法曹になる資格を取得できます。具体的には、以下の3つの職業に就くことができるようになるのです。
- 弁護士
- 裁判官(判事)
- 検察官(検事)
なお、厳密に言うと、司法試験合格後、最高裁判所が主宰する「司法修習」という法曹の研修を受け、最終試験(二回試験と呼ばれています)に合格しないと、法曹資格を取得できません。
司法試験の難易度
司法試験は、数ある国家資格の試験の中でも最難関と言われています。
司法試験の合格率
最近の5年間では、司法試験の合格率は、以下のように推移しています。
| 試験年度 | 合格率 |
|---|---|
| 令和7年度(2025年度) | 41.20%(合格者1,581人) |
| 令和6年度(2024年度) | 42.13%(合格者1,783人) |
| 令和5年度(2023年度) | 45.30%(合格者1,781人) |
| 令和4年度(2022年度) | 45.50%(合格者1,403人) |
| 令和3年度(2021年度) | 41.50%(合格者1,421人) |
司法試験の合格率の見方に注意
上記のとおり、司法試験の合格率は、概ね40~45%前後で推移しています。この数字からすると、最難関のようには思えません。
しかし、上記合格率は、あくまで「受験資格を有する受験生の合格率」です。後述するとおり、司法試験はそもそも、法科大学院の課程修了者か予備試験の合格者しか受験できません。
法科大学院に入学するためにも、入学試験があります。司法試験合格実績の高い法科大学院になると、入試の合格率自体が、20~30%です。さらに、予備試験は、「予備」と銘打っていますが、合格率は3~4%の超難関です。
その上、司法試験受験生自体のレベルが高く、いわゆる「記念受験」のような受験生がほとんどいません。
そのため、司法試験の合格率を形式的にみると40~45%前後ですが、法科大学院の入学や予備試験合格も加味すると、実際の難易度はもっと高いでしょう。
司法試験合格までに必要となる勉強時間
司法試験は科目数も多い上、論文試験があります。ただ知識や理解を得ているだけでなく、それを文章によって表現する能力も必要です(今後は、パソコンのタイピング能力も必要)。
そのため、司法試験に合格するまでには、一般的に【3000~5000時間】の勉強時間が必要であると言われています。毎日本格的に勉強しても、2~3年以上はかかる計算です。
それなりの覚悟をもって挑まないと、合格は覚束ないでしょう。
司法試験の受験資格と受験回数制限
司法試験には2つの受験資格があります。いずれかの受験資格を獲得していないと、司法試験を受けることさえできません。
司法試験の受験資格を得るには、以下の2つの方法があります。
- 法科大学院の課程修了
- 司法試験予備試験の合格
受験資格1:法科大学院(ロースクール)の課程修了
司法試験の受験資格を得るための一般的なルートは、法科大学院に入学し、必要課程をすべて終了するルートです。
法科大学院とは、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とする専門職大学院です(司法試験法1条3項)。「ロースクール」とも呼ばれています。
法科大学院では、予備校のように司法試験対策に特化しているわけではありませんが、法律の理論と実務の両方を学ぶことができます。この法科大学院で必要な課程を修了すれば、司法試験の受験資格を得られます。
ただし、法科大学院に入学するためにも試験はあります。司法試験合格率の高い法科大学院は、当然倍率が高く、入学するのも難関です。
受験資格2:予備試験の合格
もうひとつの受験資格獲得のルートが「予備試験」です。司法試験予備試験と呼ばれる法律科目の試験に合格すれば、司法試験の受験資格を得られます。
試験に合格すればよいだけなので、法科大学院ルートのような費用や時間もかかりません。
ただし、「予備」と銘打っていますが、出題レベルは司法試験の本番とほとんど遜色ない上に、合格率はわずか3〜4パーセント程度の超難関試験です。予備試験対策の予備校講座などもあるくらいです。
受験資格取得後の受験回数制限
法科大学院の課程修了と予備試験合格による受験資格には、いずれも「5年間で5回まで」の受験回数制限があります。具体的には、以下の時から5年間です(司法試験法4条)。
| 受験資格の取得方法 | 受験回数制限の起算日 |
|---|---|
| 法科大学院の課程修了 | 法科大学院の課程修了日後の最初の4月1日から5年間 ※法科大学院在学中に司法試験を受験した場合は、受験日の属する年の4月1日から5年間 |
| 予備試験の合格 | 予備試験の合格発表日後の最初の4月1日から5年間 |
法科大学院の課程を修了したり予備試験に合格したりして受験資格を取得したとしても、5年間で5回以内に本番の司法試験に合格できなければ、受験資格がなくなってしまうのです。
万が一5年以内に司法試験に合格できないと、改めて法科大学院に入学し直すか、予備試験に再度合格しなければなりません。
司法試験の日程・スケジュール
司法試験の日程は、年度ごとに若干違いがあります。おおまかな司法試験の出願から合格発表までのスケジュールは、以下のとおりです。
- 3月上旬~
3月末頃受験願書の交付例年3月初め頃から、受験願書が交付されます。願書交付は、郵便で行う必要があります。
- 3月中旬~
3月末頃受験願書の受付3月中旬から2週間ほどが、受験願書の受付期間です。意外と短いので、注意しましょう。
- 7月中旬司法試験の本番
司法試験は、例年7月中旬の4日間にわたって行われます(うち3日間は論文試験、1日は択一試験)。
- 8月上旬短答式(択一)の合格発表
例年8月上旬に、短答式(択一試験)の合格発表が行われます。短答に合格した人だけが、論文式を採点されます。
- 11月中旬最終の合格発表
例年11月中旬に、最終合格の発表がされます。
司法試験の出願時期
司法試験は、毎年1回行われます。出願期間は、毎年3月です。
司法試験の願書は、毎年3月初め頃から交付が開始されます。願書は、窓口交付がありません。郵送で願書の交付を申し込む必要があります。
願書の提出は、毎年3月中旬~3月末頃までです。出願も郵送です。期間内に提出しなければ、当然司法試験を受けられません。忘れないようにしましょう。
なお、受験資格があっても必ず受けなければいけないわけではありません。しかし、前記のとおり、受験資格の有効期間は5年です。受験をしなくても期間は経過してしまうので、注意が必要です。
司法試験の方式と科目
司法試験には、短答式と論文式の2種類の方式の試験があります。
| 短答式(択一試験)の科目 | 論文式の科目 |
|---|---|
| ・憲法 ・民法 ・刑法 | ・公法系:憲法・行政法 ・民事系:民法・商法・民事訴訟法 ・刑事系:刑法・刑事訴訟法 ・選択科目:知的財産法・労働法・租税法・倒産法・経済法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)・環境法のうちいずれか1つを選択 |
以下、それぞれについて説明します。
短答式(択一試験)
短答式は、複数の選択肢(多くは5つ)から正解を選んでマークシートに記入する方式の試験です。一般的には、択一試験と呼ばれています。
択一試験の科目は、以下の3科目です。
| 試験科目 | 出題数 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 憲法 | 20問程度(50点満点) | 50分 |
| 民法 | 36問程度(75点満点) | 75分 |
| 刑法 | 20問程度(50点満点) | 50分 |
短答式で合格点をとらないと足切になり、不合格となります。
論文式
論文式(論文試験)とは、与えられた問題文に対して論文の形で回答する試験です。択一試験で合格点をとらないと、論文式の審査は行われません。
| 試験科目 | 問題数 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 公法系:憲法 | 1問 | 120分 |
| 公法系:行政法 | 1問 | 120分 |
| 民事系:民法 | 1問 | 120分 |
| 民事系:商法 | 1問 | 120分 |
| 民事系:民事訴訟法 | 1問 | 120分 |
| 刑事系:刑法 | 1問 | 120分 |
| 刑事系:刑事訴訟法 | 1問 | 120分 |
| 選択科目 | 2問 | 180分 |
論文試験では、科目ごとに試験が行われます。1科目1問(選択科目のみ2問)が出題され、3日に分けて試験が実施されます。
令和8年度からCBT方式が採用され、試験会場に設置されたパソコンを操作して画面上で答案を作成する方式に変更になりました。今後は、パソコンの操作やタイピングにも慣れておく必要があります。
司法試験の合格発表
司法試験の合格発表は、まず始めに短答式(択一試験)の合格発表がされ、後に短答式合格者のなかから論文式合格者(最終合格者)が発表されます。
択一式の合格発表は例年8月、最終合格の発表は例年11月です。
司法試験合格後の進路
司法試験に合格すると、最高裁判所が主宰する「司法修習」に参加できます。司法修習とは、法曹(弁護士・裁判官・検察官)の実務を学ぶための約1年間の研修です。
司法修習では、最後に「司法修習考査」という試験が行われます。司法試験に続く試験の意味で「二回試験」と呼ばれています。
この二回試験で合格すれば、弁護士・裁判官・検察官のいずれかになれます。なお、裁判官や検察官は定員が決まっているので、希望してもなれないことはあります。
弁護士
弁護士は、法律に関する業務をすべて行える職業です。他の士業のような制限がない、オールマイティな法律資格です。
裁判手続で代理人や弁護人になれるのは、弁護士だけです(簡易裁判所の民事訴訟に限り、認定司法書士も代理人になれます。)。
そのため、業務の範囲は、非常に広いです。民事事件だけでなく、刑事事件も取り扱えます。独立開業も可能です。20代で独立開業することも珍しくありません。
非公務員の法律資格として最も強力な資格と言ってよいでしょう。
裁判官
裁判官は、司法権の行使者です。中立・公平な立場から事実を認定して法律を適用し、紛争を解決する職業です。憲法で独立性を保障される国家公務員です。
司法試験合格者は、「判事」になれます。国家公務員であるため、職業としての安定性はトップクラスです。
裁判手続で最終的な判断を下すのが、裁判官の仕事です。ある意味では、社会に影響を及ぼせる仕事でもあります。
検察官
検察官とは、犯罪を捜査して起訴・不起訴を判断し、刑事事件の公訴で原告として訴訟活動を行う国家公務員です。検察官も独立性が保障されており、一人ひとりが独任制の官庁です。
司法試験合格者は、「検事(正検事)」になれます。検察官も国家公務員ですから、安定性はトップクラスです。
司法試験の勉強法
司法試験は、科目が多く範囲も膨大な上、難易度も高いです。
基本的な知識があることは前提ですが、知識があるだけでは合格にはたどり着けません。基本的な知識を応用して考える能力(法的思考力)が求められます。
司法試験の合格を目指すには、以下のような勉強法が必要となってきます。
法律の条文を確認する
司法試験は、法律の条文の解釈を問う試験です。条文を全部丸暗記する必要はありませんが、条文を知らなければ、問題は解けません。
勉強中に条文が出てきたら、面倒がらずに、必ず六法で条文を確認しておきましょう。逐一確認することによって、条文を覚えて理解できるようになります。
なお、憲法の統治機構など、単純に条文の知識を問う問題もあります。全部を丸暗記するのはよくありませんが、必要となることもあります。
過去問を重視する
基本的な知識や理解がないと問題を解けないので、基本書やテキストを読んでインプットすることは必要です。とは言え、基本書に書いてあることすべてを完璧に理解しようとすると、時間がいくらあっても足りません。
そのため、出題範囲や傾向を知るために、学習の早い段階から「過去問」の検討を始めることをお勧めします。
過去問は、トップクラスの学者・実務家が作成しているだけあって、知識と思考力の両方を問うことができる良問揃いです。
また、重要分野は形を変えて何度も出題されているため、重点的にどこを勉強したらよいかも把握できます。
予備校や通信講座を利用する
司法試験の予備校や通信講座を利用するのも、合格の可能性を高めるための方法のひとつです。
独学で合格するのが不可能なわけではありませんが、合格に必要な学習のポイントを絞ってもらった方が、効率的に勉強できます。
合格者に直接質問できる環境があるのも、予備校や通信講座を利用する大きなメリットです。
法律の勉強をしていると、独りよがりになりがちです。合格者や他の受験生と自分を比較できる機会があれば、自分の勉強方法を客観的に見つめ直す機会を得られるでしょう。
費用面で可能なら、予備校や通信講座を利用することをお勧めします。
パソコンでの操作やタイピングに慣れておく
前記のとおり、司法試験では、令和8年度からCBT方式が採用されています。パソコン画面上で、論文答案を作成しなければいけません。
そのため、パソコンでの操作やタイピングに慣れておく必要があります。また、実際の画面操作は、かなり独特であるため、体験版や予備校の答練などで事前に慣れておいた方がよいでしょう。


