この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q司法書士試験とは、どのような試験?
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司法書士試験とは、司法書士に必要となる知識や法的思考力を判定する国家試験です。司法書士試験に合格すれば、司法書士資格を取得できます。
このページでは、司法書士試験について詳しく説明します。
- 司法書士・司法書士試験とは
- 司法書士試験の難易度・合格率・合格までの勉強時間
- 司法書士試験の日程・スケジュール
- 司法書士試験の方式・試験科目
- 司法書士試験に合格するための勉強法のポイント
- 司法書士と弁護士・行政書士の違い

司法書士とは?
司法書士とは、登記・供託などの法律事務の専門家です(司法書士法1条)。ただし、登記や供託実務に限らず、幅広く以下のような業務を行っています。
- 不動産登記の手続き
- 会社など商業登記の手続き
- 契約書や遺産分割協議書などの法律文書の作成
- 一定の研修を修了した認定司法書士の場合は、簡易裁判所で訴訟代理人になることも可能
司法書士資格は、市民に身近な法律家であり、仕事として安定性があります。また、経験を積めば、独立開業も目指せる資格です。そのため、法律系資格の中でも人気の資格です。
ただし、司法書士になるには、難関の司法書士試験に合格しなければいけません。
司法書士試験とは?
司法書士資格は非常に魅力のある資格ですが、国家試験である「司法書士試験」に合格しなければ取得できません。司法書士試験は、司法書士法(6条以下)に定められており、法務省が実施しています。
司法書士試験のメインは筆記試験(択一式・記述式)ですが、試験委員と直接面談して行われる口述試験もあります。
この司法書士試験は、毎年合格率が4〜5パーセントの難関試験です。簡単に取得できる資格ではありません。以下では、司法書士試験について詳しく説明していきます。
司法書士試験の難易度
司法書士試験は、試験科目が多く範囲が膨大な上に、問題の難易度も高いです。マークシート式だけでなく、記述式の問題もあります。
そのため、司法書士試験は、数ある法律系資格の中でもトップレベルに難易度の高い試験です。
司法書士の合格率
最近の5年間では、司法書士試験の合格率は、以下のように推移しています。
| 試験年度 | 合格率 |
|---|---|
| 令和7年度(2025年度) | 5.21%(751人) |
| 令和6年度(2024年度) | 5.28%(737人) |
| 令和5年度(2023年度) | 5.20%(695人) |
| 令和4年度(2022年度) | 5.18%(660人) |
| 令和3年度(2021年度) | 5.14%(613人) |
司法書士試験の合格までに必要となる勉強時間
前記のとおり、司法書士試験は試験科目も多く、択一試験だけでなく記述式試験もあります。知識や理解だけでなく、文章表現力も必要です。
そのため、司法書士試験に合格するまでには、一般的に【2000~3000時間】の勉強時間が必要となると言われています。毎日本格的に勉強しても、2~3年以上はかかる計算です。
かなりの本腰を入れて合格を目指さないと、到底合格にまでは行きつけないでしょう。
司法書士試験の受験資格
司法書士試験には、特別な受験資格はありません。年齢制限などもありません。司法試験のように法科大学院に通わなければいけないなどの受験資格制限がないのです。
誰でも受けられる試験である点が、司法書士試験の人気の理由のひとつでしょう。
司法書士試験の日程・スケジュール
司法書士試験の日程は、年度ごとに若干違いがあります。おおまかな司法書士試験の出願から合格発表までのスケジュールは、以下のとおりです。
- 4月初旬~
5月中旬受験願書の交付例年4月初め頃から、受験願書が交付されます。願書は、全国の法務局でもらえます。郵便で行うこともできます。
- 5月上旬~
5月中旬受験願書の受付5月上旬から2週間ほどが、受験願書の受付期間です。意外と短いので、注意しましょう。
- 7月上旬筆記試験
司法書士試験の筆記試験は、例年7月上旬に行われます。
- 10月上旬筆記試験の合格発表
例年10月上旬頃に、筆記試験の合格者が発表されます。後日、合格者には、口述試験の受験票が送付されます。
- 10月中旬口述試験
筆記試験の合格者を対象として、10月中旬頃に口述試験が実施されます。
- 11月上旬最終の合格発表
例年11月上旬に、最終合格の発表がされます。
司法書士試験の出願時期
司法書士試験は、毎年1回行われます。出願期間は、毎年5月です。
司法書士試験の願書は、毎年4月初め頃から交付が開始されます。願書は、法務局(または地方法務局)の窓口で受け取れます。郵送で願書の交付を申し込むことも可能です。
願書の提出は、毎年5月上旬~5月中旬までです。出願も、法務局(または法務局)の窓口で行います。また、郵送による出願も可能です。期間内に提出しなければ、当然司法書士試験を受けられません。忘れないようにしましょう。
司法書士試験の方式や試験科目
司法書士試験の方式には、「筆記試験」と「口述試験」があります。筆記試験に合格した人だけが、次の口述試験を受けられます。
筆記試験
司法書士試験の筆記試験は、毎年7月上旬に実施されます。1日で全科目の試験が行われ、午前の部と午後の部に分かれています。この筆記試験には、「択一式」と「記述式」の2種類があります。
択一式とは、5つの選択肢の中から正解を選んでマークシートに記入する方式の試験です。他方、記述式とは、出題事例をもとに、不動産登記・商業登記の申請書を作成する方式の試験です。
この筆記試験には、午前の部・午後の部それぞれに基準点が設けられています。それぞれ基準点を超えていないと足切りになって、合格できません。
午前の部
筆記試験の午前の部では、以下の試験が行われます。試験時間は2時間(午前9時30分~11時30分)です。すべて択一式の試験です。
| 試験科目 | 問題数 |
|---|---|
| 憲法 | 3問(各3点) |
| 民法 | 20問(各3点) |
| 刑法 | 3問(各3点) |
| 商法・会社法 | 9問(各3点) |
午前の部の科目は、1問3点、合計105点の配点になっています。この午前の部の試験のうち、一定の基準点(例年75~80点くらい)を超えていないと、足切りになってしまいます。
午後の部
筆記試験の午後の部では、以下の試験が行われます。試験時間は3時間(午後1時00分~4時00分)です。不動産登記法と商業登記法は、択一式と論文式があります。
| 試験科目 | 問題数 |
|---|---|
| 民事訴訟法 | 5問(各3点) |
| 民事執行法 | 1問(各3点) |
| 民事保全法 | 1問(各3点) |
| 司法書士法 | 1問(各3点) |
| 供託法 | 3問(各3点) |
| 不動産登記法(択一) | 16問(各3点) |
| 商業登記法(択一) | 8問(各3点) |
| 不動産登記法(記述) | 1問(70点) |
| 商業登記法(記述) | 1問(70点) |
午後の部の択一科目は、1問3点、合計105点の配点になっています。一方、記述式の科目は、1問70点合計140点の配点です。
この午後の部の試験では、択一式と記述式のそれぞれに基準点が設けられています。午後の部択一の基準点は例年75~80点、記述式の基準点は70点前後です。
筆記試験の足切りに注意
上記のとおり、筆記試験では、午前の部の択一、午後の部の択一、午後の部の記述それぞれに足切りのための基準点が設けられています。
基準点は、年度によって異なりますが、概ね以下の水準です。
- 午前の部の択一式:概ね75~80点
- 午後の部の択一式:概ね75~80点
- 記述式:概ね70点前後
それぞれの基準点をすべて超えていないと、筆記試験は合格できません。
例えば、午前の部の択一式が満点であったとしても、午後の部の択一や記述が基準点に達していなければ、筆記試験は不合格になってしまいます。
口述試験
口述試験とは、試験官からの質問に口頭で回答する面談方式の試験です。もちろん、就職面接とは違って志望動機などを答えるわけではなく、法律の質問に答える試験です。
口述試験の科目は、以下のとおりです。
- 不動産登記法
- 商業登記法
- 司法書士法(司法書士の業務を行うに必要な一般常識)
口述試験の試験時間は、概ね1人10~15分程度でしょう。
司法書士試験の合格発表
司法書士試験の筆記試験の合格者は、毎年10月上旬に発表されます。その後すぐ、合格者には口述試験の受験票が送られてきます。筆記試験の合格発表が終わると、あっという間に口述試験です。
最終合格は、例年11月上旬に発表されます。
司法書士試験に合格するための勉強法のポイント
司法書士試験は、合格率4〜5パーセントの難関試験です。勉強の方向性を間違えていると、どれだけ時間をかけたとしても、合格はおぼつかないでしょう。
以下では、司法書士試験に合格するために、勉強法で注意しておくべきポイントを説明します。
条文をマメにチェックしておく
法律の条文のチェックは、法律系資格の勉強で大切です。
条文を知らないと、何が問題になっているのかを理解できません。そのため、問題の所在がわからず、単なる知識の暗記に陥ってしまいます。
司法書士試験は、知識の暗記だけでは合格できません。条文を丸暗記する必要はありませんが、何が定められているのかを知り、理解しておく必要はあります。択一式問題であれば、条文を知っているだけで何とかなることもあります。
勉強している中で条文が出てきたら、面倒がらずに条文を読んでチェックしておきましょう。
過去問の検討を勉強の中心にする
「基本書やテキストをマスターしてから過去問を検討する」では、遅いです。
司法書士試験では、重要分野は何度も焼き直されて出題されます。また、良問揃いです。過去問を検討することによって「合格するには何がどの程度必要なのか」を体感できます。
そのため、学習を始めた早い段階から過去問を検討した方が効率的な上、理解を深められます。勉強の中心は、過去問に置くことをお勧めします。
勉強時間を意識的に確保する
前記のとおり、司法書士試験に合格するまでの勉強時間は、一般的に2000~3000時間と言われています。もちろん個人差はあります。もっと早く合格する人もいるでしょう。
とは言え、一定の勉強量が必要であることは間違いありません。そのため、いかに勉強時間を確保できるかが、合格のためには重要なことです。
司法書士試験では、仕事をしながら合格する人も多いです。専業受験生でなければ合格できないわけではありません。しかし、仕事をしている場合は、特に意識的に勉強時間を確保する必要があります。
できれば、毎日最低1時間程度でもスケジュールを調整して時間を確保し、勉強を継続的に進めていく方が、記憶や理解の定着率が高いです。
「できる時間があるときに勉強する」のではなく、無理やりにでも1日1時間以上勉強時間を確保して、意識的に「勉強に集中できる時間」を増やしましょう。
予備校や通信講座の利用も検討する
司法書士試験は難関とは言え、独学でも合格不可能ではありません。しかし、独学だと勉強方法が独りよがりになり、間違った方向に進んでしまう可能性があります。
また、司法書士試験は、科目が多く範囲も膨大です。すべて完璧に押さえようとすると、息切れして挫折しかねません。かと言って、自分で出題傾向を一から分析するのは、時間がかかりすぎます。
出題範囲や傾向を絞ってくれる予備校や通信講座を利用した方が、正しい勉強法に辿り着ける可能性が高いです。
金銭面で許されるなら、予備校や通信講座の利用を検討した方が効率的でしょう。特に、答案練習会(答練)や模擬試験は、ぜひ利用しておくことをお勧めします。
司法書士と弁護士・行政書士の違い
代表的な法律系資格として、司法書士のほか、弁護士や行政書士があります。ここでは、司法書士と弁護士・行政書士の違いを説明します。
司法書士と弁護士の違い
弁護士は、万能の法律資格です。すべての法律業務を行えます。そのため、登記・供託実務や法律文書の作成などに制限される司法書士よりも、はるかに業務範囲は広いです。
しかし、司法書士の業務範囲が狭いわけではありません。登記関連については、ほとんど司法書士の独占業務であり、作成できる法律文書も非常にさまざまです。また、認定を受ければ簡易裁判所の訴訟代理も可能です。
弁護士と比べれば制限があるだけで、実際には、司法書士にもかなり広汎な業務があります。
また、弁護士になるには、司法試験に合格しなければいけません。司法書士試験以上の難関です。
しかも、司法試験には、受験資格の制限があります。法科大学院に通って修了認定を受けるか、超難関の予備試験に合格しなければ、司法試験を受けることさえできません。
司法書士の方が、早期に合格して実務家になれる可能性は高いでしょう。
司法書士と行政書士の違い
行政書士は、行政官庁への申請や書類作成を代行する業務を行う士業です。扱える行政文書は非常に膨大ですが、法律文書の作成は行えません。そのため、司法書士とは、あまり業務範囲は重ならないでしょう。
また、難易度で言うと、司法書士試験の方が行政書士試験よりも、かなり難しいです。
司法書士試験と行政書士試験は試験科目で重なるものが多いので、まずは、行政書士試験合格を目指し、次に司法書士試験合格を目指すのもひとつの方法です。
実際、司法書士と行政書士のダブルライセンスを取得している実務家も多いです。

